「論よりカレー」

先日、「ミライの授業」瀧本哲史を読んでいて面白いことが載っていたのでお話しをしますね。

昭和初期で2大疾患と言えば結核と脚気だったそうです。
その頃、海軍軍医である高木兼寛を中心とした「栄養不足説」と陸軍軍医である森鴎外に代表される「伝染病説」が病因論としてぶつかっていました。
日本の医学はドイツに留学して学ぶのが一般的でしたが海軍だけはイギリスに学ぶ伝統があったそうで、イギリスの海軍には脚気がないことから食事に原因があると無謀にも森鴎外に挑んだのです。
軍医は臨床家ですから、論より証拠。患者さんが治れば何でも試したいのが本音。

 

そこで海軍に新たに導入された食事がカレーでした。
当時、高木兼寛は脚気の原因をタンパク質不足によるものと考えてのカレー導入でしたが肉と野菜を同時に取れることが幸いし、脚気を一掃することができたそうです。
因みに脚気の原因はビタミンB1不足ですが、当時はビタミンという概念さえなかったそうです。
また、当時は白米に原因があると考えていたのでパンを合わせていたのですが海兵の強い要望により玄米カレーになったそうです。
この根拠は漢方医の間で「脚気予防に効果がある」の一言だったそうです。

しかし、森鴎外らの陸軍軍人たちはこの結果を見ても「脚気は伝染病である」と言い張り、そのまま食事改善はなされなかったのです。
この話を読んだ時、漢方や東洋医学の話をすると医学的根拠(エビデンス)を聞いてくる人を思い出します。
皆さんは論文が先にあって臨床にそれが応用されると思っているようですが、実際には臨床で成績の良いものが実践されて、根拠は後付けの方が多いのです。
医学とは凡人の医者が治療を行っても同じ結果を得ることが出来るプログラムのことです。

つまり西洋医学とは凡人の科学なのです。
このことが分かっていないと森鴎外のように見えるものしか信じない、根拠のないものは認めないとなるのです。
東洋医学は天才の医学です。
血液検査やレントゲンさえない時代に、五感をフルに使ってその人の状態を推察し、その人が足らないもの、滞っているものを見つけて治療して治してきました。
経験と勘による診断と治療法を何百年も人に受け継がれたものですから根本的な考え方が違うのです。
東洋医学はその人の状態を診て処方を変えるオーダーメイド医療ですから誰にでも出来る治療ではありません。
西洋医学は再現性が高い分、対応できない範囲が広いのです。
ですから西洋医学は常にわからない部分、改善の余地を踏まえた上で診断と治療を行なう必要があるのです。

 

横浜 青葉台 さくら歯科クリニックあおば 院長 櫻井直樹
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