「噛めないからボケるんだ!」

今日のお話は噛むことと脳の関係です。
人間の記憶は海馬という部分が司っています。
これは年齢と共に萎縮し小さくなることが分かっています。
老眼になるのと同様に記憶力も低下するのは海馬が小さくなっていくことが原因です。
しかし他の神経細胞と違い海馬の神経細胞は鍛えれば増加することが分かっています。
しかも!
それは咀嚼で活性化されるのです。
それを証明した実験が「噛んでボケは予防できるか:咀嚼機能不全と脳の高次精神機能」(小野塚 実他 日本咀嚼学会雑誌11巻2号109-116 2002年)
での老齢マウスを使った水迷路テストの実験です。
 人の年齢なら65歳の老齢期マウスを使い円形のプールに休憩台を作ります。それは浅瀬で足がついて休める深さになっています。
目で見て分からないように水面には細かいビーズがビッシリと浮いています。
 始めは偶然休憩台を見つけます。
最初は辿り着くまでに60秒ほどかかっていたのが1日4回のトレーニングで一週間ほどで迷わず休憩台に10秒ほどでたどり着けるようになります。
老齢でも時間はかかりますが学習と記憶ができることが分かります。
今度はマウスの奥歯を噛まないように削ります。
すると一週間経っても見つけることさえ出来なくなってしまったのです。
その後、奥歯を修復し噛めるようにします。
すると学習、記憶力が日ごとに向上し一週間後には20秒ほどで休憩台に辿り着けるようになったのです。
実験後脳の変化を見るために解剖し脳の海馬の切片を作り神経細胞の数を測定したのです。
すると最初の奥歯が正常なグループは1㎟当たり約900個、奥歯を削ったグループは約500個そして修復したグループは約700個と約78%まで回復したことが分かったのです。
これは歯がなくなることで記憶が定かでなくなったり道に迷う認知症状態になったりすることに
歯科治療で記憶力が回復しうることを示しています。
でもネズミでしょ?と思った方は賢い!
ネズミに言えても人間の場合は別であることはザラにあるのです。
人間にこの実験はできませんから真相は分かりません。
しかし咀嚼により脳の活性化に変化があるかを測定して実験ではガムを噛ませる前と後では機能的磁気共鳴画像方(fMRI)で測定した結果海馬が活性化していることが分かっています。
驚くべきことに若者ではあまり変化がなかったのに対し高齢者では顕著だったのです。
先程も言った通り高齢者は脳の萎縮が起こっているので回復が顕著にみえたと考えられています。
これらの情報を総合していくと老人になるほどガムを噛むと脳が若返ると言えるのです。

横浜 青葉台 さくら歯科クリニックあおば 院長 櫻井直樹
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